九州工業大学 平成17年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム

取組の目的

「地元企業と連携した実践的IT技術者教育」という取組は,産学官連携を推進する飯塚地区のe-ZUKAトライバレー構想を背景に,IT関連企業の社内教育のノウハウ,大学発ベンチャーを含む地元ベンチャー企業等の実践力,九州工業大学情報工学部の実学を重視した教育力,本学大学院情報工学研究科情報創成工学専攻に在学中の大学院生の学生力を結集して産学連携情報教育を実施し,本学部学生の実践的なITスキルを産業界のニーズに合致させようとするものです。
産学連携教育の概念図
図1 産学連携教育の概念図

e-ZUKAトライバレー構想(飯塚市新産業創出ビジョン)

飯塚市では2002年1月に本構想を発表し,地元の大学と企業との産学官連携及び大学発ベンチャーの創業・育成支援,IT関連企業の誘致を促進してきました。この成果が認められ,2004年度には産学官連携表彰制度の経済産業大臣賞を受賞しました。
  • e-ZUKAトライバレー構想産学官交流研究会,中小企業産学官技術交流会
  • 情報化推進関係機関懇談会,嘉飯山地域産業振興協議会

九州工業大学発ベンチャー企業

日本一創業しやすい街づくり」をキャッチフレーズにしたe-ZUKAトライバレー構想の下で,大学発ベンチャー企業の設立が活発に行われ,九州工業大学発ベンチャー企業数は34社となり,全国大学の中で7位です。
表1 大学発ベンチャー累計数
順位大学名設立数
1東京大学65社
2早稲田大学60社
3大阪大学54社
4京都大学52社
5東北大学39社
6筑波大学37社
7九州工業大学34社
7東京工業大学34社
9慶應義塾大学33社
10九州大学32社

大学院情報工学研究科情報創成工学専攻

産業界に存在する現実の課題を拾い上げ,先端的情報技術を原動力に,解決・実現の道筋作りを研究テーマとする独立専攻「情報創成工学専攻」を2002年度に設置し,通常の大学科目としては不足している実践的IT科目をカリキュラムに組み込んでいます。

取組の内容

本取組では,図2に示すように,以下の4つのプログラムを開設・実施します。
  1. ITスキル向上を目指す「IT実践基礎コース」
  2. チームによるソフトウェア開発を体得する「ワークショップ」
  3. 地元ソフトウェア企業での中・長期「インターンシップ」
  4. 知的財産や技術マネジメントを扱う「関連科目上級コース」
取組の概要
図2 取組の概要

表2 教育プログラムの内容:Javaによる実践的プログラミングスキルの修得
コース名コース内容実施時期時間数(単位)
IT実践基礎コース
  1. ServletやJSPを活用したWebアプリケーションの開発
    サーバサイドJavaテクノロジの基礎から,Servlet,JSP,JDBC等を活用し,実習を通して一連のテクノロジ並びにサーバが連携したWebシステムの構築までを修得
  2. Strutsフレームワークを活用した効率的な開発
    開発毎に行ってきた基本アーキテクチャの設計や実装を省くことができ,効率的な開発を可能にするWebアプリケーションフレームワーク:Strutsのアーキテクチャ,動作原理,開発方法,利用方法等を,実習を通して修得
  3. オブジェクト指向システムの分析・設計
    Webシステムを開発するに当たり,必要となるオブジェクト指向の考え方,オブジェクト指向システムの分析・設計の概要を理解
前期講義
期間中
48〜60時間
(2単位)
ワークショップ
基礎コースで修得した知識・技術を活用し,受講生をグループに分け,ワークショップ形式でシステム開発を行い,擬似的に実際のシステム開発を経験する。グループ毎に受講生自らが進捗管理,品質管理,納期等を意識しながら作業の質の向上と効率化を図る
夏期休業中の前半 45〜48時間
(1単位)
インターン
シップ
基礎コースとワークショップで培ったスキルをインターンシップで実践し,ノウハウを修得する。インターンシップ先企業は,大学発ベンチャーを含む地元のソフトウェア関連企業である。期間終了後に成果発表を行い,必要となるスキルを再確認する
夏期休業中の後半 5〜20日間
(1単位)
関連科目
上級コース
上級技術者に必要な知的財産(特許権,実用新案権,商標権,意匠権,著作権等)管理,及び新技術知識の創生,技術資産の蓄積,技術知識の製品活用への移行過程における効果的マネジメント等MOTに関する講義を行う
後期講義
期間中
30時間
(2単位)

授業教材のe-Learning化

受講生の自学自習並びに本取組の継続的実施を可能にするために,「IT実践基礎コース」と「関連科目上級コース」の一部をe-Learning教材化します。
e-Learning
図3 e-Learning

取組の実施スケジュール

スケジュール
図4 スケジュール

取組の実施体制

取組の実施体制
図5 取組の実施体制

取組を実施する大学の組織

情報工学部・情報工学研究科:本プログラムの実施主体

  • 副情報工学部長:取組実施責任者
  • 教員(1名/学科):学生募集,講義担当,成績評価等
  • 学部教育委員会:科目設定,単位認定等の教務事項の審議・決定
  • 情報工学研究科大学院生:TA,取組実施の支援等

地域共同研究センター:IT関連企業やベンチャー企業等との連絡・調整

知的財産本部:知的財産,技術マネジメント関連のコースの企画・実施

e−ラーニング事業推進室:自学自習を可能にするe-Learning教材の作成

取組を支援する飯塚地域の公的団体

以下の団体の支援を受けてインターシップのマネジメントを行います。

飯塚市新産業創出支援センター(e-ZUKAトライバレーセンター)

福岡ソフトウェアセンター

(財)飯塚研究開発センター

取組を支援する企業

サン・マイクロシステムズ(株):
   「IT実践基礎コース」と「ワークショップ」のカリキュラム設計
   及び教材作成の支援,講師・インストラクタの派遣等

取組の効果

取組の効果
図6 取組の効果

お問い合わせ先

九州工業大学情報工学部
遠藤 勉 (副情報工学部長)
〒820-8502 福岡県飯塚市川津680−4
Tel. 0948-29-7601 Fax. 0948-29-7601
E-mail: endo@pluto.ai.kyutech.ac.jp